地下トンネル工事に関連する地下水の影響
地下トンネル工事と地下水 ― 交野市の未来を守るために
交野市の地下深くを通すトンネル計画が進められています。
事業者側は「新幹線のトンネルはもっと深い層だから、地表に近い地下水には影響がない」と説明するかもしれません。
しかし、過去の事例や地下水の性質を考えると、本当にそう言い切れるのでしょうか。
「深いから安全」という説明の落とし穴
一見すると、「汲み上げている井戸は深い層、トンネルは浅い層だから関係ない」と思えるかもしれません。
けれども、地下水は単純に「浅い水」と「深い水」に分かれて存在しているわけではありません。
- 地層の割れ目や透水層を通じて、深い層と浅い層がつながっている場合がある
- トンネル工事で深部の水が抜けると、水圧のバランスが崩れて他の層にも影響が出る
- 水位低下は時間差で表層の地下水に及び、井戸や湧水に変化をもたらす
つまり「深いから、浅いから関係ない」とは、必ずしも言えないのです。
実際に起きた事例
- 横浜市の地下鉄工事では、トンネルが深い位置にあったにも関わらず、周辺の井戸が枯れたケースが報告されています。
- 関西地方の道路トンネルでは、掘削で深部の地下水が抜けた結果、上部の地盤が沈下し、住宅や農地に被害が出ました。
これらは、「深さが違うから大丈夫」という説明が現実に覆された例です。
交野市の地下水と自然
交野市の地下には、山々から染み込んだ雨水が長い年月をかけて地層を通り抜け、淀川や天野川へと湧き出す「水の循環」があります。
この循環は浅い層・深い層にまたがっており、どこかでバランスを崩せば全体に影響します。
- 星田や私市の里山の湧水
- 生活用井戸
- 河川や田畑を潤す地下水
- 交野市市民の生活を支えている、17本の井戸(8割を依存)
これらは互いに独立したものではなく、**一つのつながった「水のシステム」**の上に成り立っているのです。
未来世代への責任
問題は、影響がすぐに出ないこと。
- 数年後に井戸が枯れる
- 十数年後に地盤が沈下する
- 次の世代が水不足に直面する
こうしたリスクは、一度現れてしまえば元に戻すことはできません。
地下水は、私たちだけの財産ではなく、未来の子どもや孫たちへの贈り物です。
だからこそ、
- 「深いから安全」という説明を鵜呑みにせず
- 十分な調査や公開を求め
- 市民として声を上げ続ける
ことが求められています。
まとめ
- 地下水は「浅い層」と「深い層」がつながっており、深いトンネル工事でも影響が及ぶ可能性がある
- 実際に他地域で「深い工事でも井戸や地盤に被害が出た」事例がある
- 交野市の地下水は地域の自然と暮らしを支える大切な循環であり、未来の世代に残す責任がある
「交野の水を守る」という意識を、今こそ市民一人ひとりが持つこと。
それが、この土地に暮らす私たちに課せられた責任です。